ROEとROAの関係を財務レバレッジの観点から見てみましょう。
財務レバレッジとは、株主資本(自己資本)に対する総資本の倍率のことであり、負債など自己資本以外の資本を使ってどれだけ総資本を膨らませているかを判断する指標になります。「レバレッジ」は本来「てこ」「レバー」を意味する単語で、他人の力を借りて、自分の力を増大させるという意味で用いられています。
財務レバレッジが高いということはその企業が他人の資本で事業を行っている割合が高く、株主利益が大きいということになります。
財務レバレッジは自己資本比率の逆数となるため、財務レバレッジを高めることでROEの値を高めようとすることは財務安全性の面で問題となります。
財務レバレッジの値が大きいということは負債が多いということで、財務レバレッジの値が増えれば増えるほど支払い利息が増え、売上高当期純利益率が下がってしまいます。
このような借り入れ(負債)の効用はレバレッジ効果と呼ばれます。
財務レバレッジを高めて株主のための短期的収益を求めるあまり、不健全な経営状態を引き起こしてしまいがちな業界の例として不動産業界が挙げられます。
自己資本の比率が極めて低く、金融機関などからの負債に頼った経営を行っている不動産業界は、不況となり銀行からの融資がストップするととたんに資金繰りができなくなり、経営状態が悪化してしまうという問題を抱えています。
財務レバレッジの適正な水準は業界や企業の規模、ビジネスモデルなどによって異なりますが、自己資本比率とのバランスを考えた利用が欠かせません。
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